同じ町内に住む美容師の人とは、長年の付き合いがありました。
3年程前から、異常な「肩の痛さ」「腰の痛さ」に悩んでいました。
両親や姉、弟を看取り、一人暮らし、勿論独身でした。
そんな彼女に何度目かの病魔が訪れました。
一人で、美容院を切り盛りするのは大変な気苦労が有りました。

私は、彼女の都合が良い日を選んでは髪の手入れを
して貰っていました。
勝気で、何事も遣り通すその頑張りの精神が裏目に出てしまいました。
腰が異常に痛い、と感じた時には既に『癌』細胞が広がっていたのです。
入退院を繰り返していましたが、とうとう、長い眠りに
ついてしまいました。

彼女はお客相手の仕事ですから、いつも高価なカサブランカを
仕事場に飾っていました。
カサブランカが特別お気に入りでした。
私の家の前を通った時に、カサブランカが咲いていると
しげしげと見つめていました。
予測はしていましたが、やはり逝かれると、急に淋しくなって来ます。

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町内からまた一人去って行きました。
皆が淋しがっています。

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一度だけの人生、出来る事なら晩年まで健康で
明るく過ごしたいと、しみじみ感じます。
持って生まれた星とは言え、大変過酷な人生で有ったと
今になって思い出しています。
今年の初夏には、まだ比較的元気でした。

近くでくちなしの花が咲いているよ・・・と、話した事
思い出します。
彼女もあの独特の香りがする「くちなしの花」が大変好きだと
云っていました。
もう、あれこれと世間話をする事も出来なくなりました。
人の生き様は、儚いです。

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彼女が好きだと言っていた「くちなしの花」時期外れですが
永久の眠りに付いた彼女に手向けたいと、思いました。
私も大変淋しいです。
でも、こればかりは他人の私でも、お医者様でも
何ともなりません。

貴女の過酷な人生は、世間の人が皆見て知っています。
お疲れ様でした、淋しいですがお別れです。
ご冥福をお祈り致します。