名古屋弁で「やっとかめだなも〜」と言う挨拶は祖母たちの
時代には頻繁に使われていた挨拶でした。
「八十日目」とかいて「やっとかめ」と読むのです。
即ち80日もの長い間、お目に掛かりませんでした、と言った
意味合いの挨拶です。
最近ではその「やっとかめ」と言う言葉は余り聞かれません。
概ね標準語に近い言葉を話すようになり、名古屋弁は純粋の
名古屋っ子でさえあまり使わないのが今の時代です。




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むしろラジオ放送等でタレントさん達が作った様な名古屋弁を
遣い、一寸品性を欠くような言葉を流行らせている感じがしています。
「やっとかめの会」は名古屋の花柳界を牽引する「名妓蓮」に籍を置く
芸者さん達の日頃の芸を一般の人にも披露する数少ない「会」です。
名古屋には「名妓蓮」をはじめとして幾つかの芸者さん達の所属する
所が有りました。

今では他に有った「浪越蓮」とか「舎人蓮」と言った組織も無くなり
「名妓蓮」だけが残っています。
「やっとかめの会」は市内の某有名料亭でかなり高額な料金で
見せて貰う事が出来ますが、一寸敷居が高いです。
この度「名妓蓮・検番」で「やっとかめの会」が開かれました。
何時もは芸者さん達のお稽古風景を見学させて貰っていましたが
本番は華やかな「正装」姿でお客様を出迎えていました。

懐かしい「名古屋甚句」を聞かせてもらいました。
毎年市内の劇場で公演される「名古屋をどり」には、かっては「名妓蓮」の
芸達者なお姐さん方が出演していました。
昔から「芸どころ名古屋」と言われていますがその言葉はもう
殆ど「死語」に近い感じがしています。
時代の変化と共に花柳界も昔ほどの需要も無い様に思います。

三味線・鳴り物・長唄など一通りの芸を習得するには大変な努力が
必要ですので芸者さんを目指してこの世界に入る人は少ないです。
舞踊で鍛えた体の熟しはかなりのお年にならないとそれらしい
雰囲気を醸し出せません。
ベテランのお姐さん方はピッタリと正装の姿が板についています。
一時の事でしたが華やかな花柳界の雰囲気を味わいました。





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