ある日の夕刻、夫が治療を受けている担当の医師から
今後の治療方針について説明を聞く事になっていました。
最近は家族の意志も最大限尊重してきめ細かな先々の
事を説明して貰えます。
先ず、その時間帯に合わせて、私たちが談話室の近くの部屋で
待機していました。

医師は多忙で、少しずつ遅れる予定を気にしながら
他の患者の事も片付けなkぅてはなりません。
併せて、その日は夫の検査報告が出る日でもありました。
ナーバスになるなと云われても、それは家族にとっては
一大事です。
しっかりと、ナーバスになっていました。

そんな折、あてどもない、くだらない内容の会話を
延々と続ける若い女性がいました。
甲高い声と、嬌声は嫌な感じがして苛立ちました。
皆が家族の病の事で悩んでサロンへやってきているのです。
誰も、そんな嬌声を張り上げません。

医師から「あと少し時間がずれます、今しばらく
お待ち下さい・・・」と連絡。
そんな状況の中で1時間も電話をしている女性の声を
聞かされて辟易しました。
何事も程ほどに。。。

「おとんの最初の命日が来るんや〜、うん?最初の命日やて。」と
女性は言います。
最初の命日とは30日目?
それとも一周忌?
盗み聞く訳では有りませんが、聞こえました。
今の娘は肉親を失って間が無いというのに、悲しみも
何も有りません。

察するに、その女性の父親の「一周忌」が来るのだと
感じました。
言葉使いも知らず、子供みたいな大人は、何ともなりません。
この女性の母親が何かの病気で入院をしているらしいのです。
医師との面談が有る私達は、静かに喧しいお喋りに耳を傾けて
聞かざるを得ませんでした。

夕日がいつの間にか、沈みかけていました。

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そのお喋り女性の頭が映っています。
ガラス越しの夕日です。





燃えよドラゴンズ!!
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